草ノ声ー知覧にてー
服部 剛
知覧の草は、さやさや…
哂
(
わら
)
う
川のせせらぐままに、身を揺らし
昔――ここから近い滑走路で
戦闘機に乗り、飛び立って
眼下に広がるいちめんの
海の彼方へ
お母さん…!
敵艦に突っ込む
いまはのきわの絶唱で
粉々に砕け散った者達の
御霊
(
みたま
)
は
あの日から姿を変えて
時には柔いみどりの草となり
時には風として吹き渡り
川辺の岩に腰かける
旅人の我が影に
何やらしきりに囁くように
知覧の草はさやさや…哂う
自由詩
草ノ声ー知覧にてー
Copyright
服部 剛
2014-11-06 23:53:52縦