シアバタークリーム
藤鈴呼



歩道橋の光が こんなに美しい原因を
二人で考えようか

白く見える 横断歩道の平行線と違わず
意見の相違を迎えず 会話し続けることは
意外と困難で

好きなのに 好きだから 伝わらないと 君は泣く

嘆きたいのは ボクの方だけれど
取りあえず 傾けた耳が くすぐったくなる角度で
君が 囁くから
僕は 笑うしか なくなって

物語のように 進まなくったって 仕方無い
交通渋滞を告げる 信号も
排気ガスばかり吐き続ける マフラー音も
遠くに 逃げて

僕は 君と 二人きり
誰にも ジャマさせない地点で
ただただ 空に 近い場所で
愛を 語り合ったから

賑やかな町の灯りも
揺れ動く灯台も
いつかの冬のキャンドルライトも
遠くに 遠くに 思えた

何を考えているか分からぬ 微妙な笑顔は 
もう要らなくて

何を考えているのか分かり過ぎる 
ハッキリ過ぎる口調も 
胡散臭くて
余計に 潤いを消した肌に 刺さるようで

クリームは 何処ですか
カスタードじゃ ないやつ
甘くなくっても 良いから

シアバター 
うん きっと それが 丁度良い
滑らかなのを 一つ 下さいな


自由詩 シアバタークリーム Copyright 藤鈴呼 2014-10-15 20:34:47
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