ふたり。
梓ゆい

「いつか、会わせてください。」と

12歳の女の子は呟いた。

ランドセルを背負い

スクールバスを待つ公民館の前で。

土曜日の夜

すれた匂いの飲み屋前

酔っぱらいを背に隠す27歳の男は

恋人の額にキスをする。

「それじゃあ、気をつけて。」と

タクシーに乗せながら。。

(何故、出会わないの?)

不意に身体を包む夜風が

見知らぬふたりを抱きしめる。

確かにあるはずの縁を

近付けるかの様に・・・・。

(ぺしゃんこのランドセル・首もとのゆるんだYシャツ。)

今はまだ

それぞれの土地で

営みを続けよう・・・・。

子宮の壁が剥がれ落ち

神の許しが下るまで・・・・。





自由詩 ふたり。 Copyright 梓ゆい 2014-10-12 22:35:20
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