紅葉群
千波 一也
なにか
あたらしい生命を宿したように
ある種の覚悟を
はらんだようにもみえる
鮮やかな紅の群れ
陽をあびて
風にながれて
堅くも軟らかな血脈として
秋を運んでいる
その
秘めた決意をかくまうように
橙色と薄黄色と渋茶色
決別と決闘と決断と
決めかねて踏みとどまったか
今まさに朱に交わらんとするか
見届けの立場に徹することにしたか
いずれにせよ
趣に富んで火照る思いを囲っている
まだ
色づかない緑の葉のひと群れ
あれは、わたしだ
気づいているのか
気づいていないのか
周りに染まらない有り様の
ある種の強みの
愚かさ
あれは、わたしだ