過去の栄光
藤鈴呼



気付かなかった だから
傷つかなかった ぼくは
気付かなかった きみが

苦しんで 苦しんで 苦しんで
もがいて もがいて もがいていたこと

愉しんで 楽しくて 笑い続けていたのだと
ずっと 信じていた

だから二人は
高みに 行けなかったのかも 知れないね


思えば 君の語り口は
いつだって あの頃の 言葉だったから

懐かしさと 虚しさの カクテルは
酔いしれるに 十分だった


もっと 底辺から 世界を眺め見れば
角度の違う光景が 理解できただろうか

冷たい手は 暖かい心の 象徴だと思ってた
俊敏なのは 反応が良い 心地よさだったから


何も 問題は ないのだと
踏み入ることを 恐れた
君の 心の 行方を
今から 探しに 出掛けるよ


自由詩 過去の栄光 Copyright 藤鈴呼 2014-10-10 00:39:23
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