春一番
藤鈴呼



キミが 駆け付けたと言うから
勢い勇んで 飛び出した

窓の向こう 染めるのは
音 五月蠅い 暴風雨

なあんだ つまらない と
窓を 閉めようとして

パワーウィンドウが
壊れたと 知った

誰かに 乞われる 生活には
慣れちゃあ いない

スパナを持った 松っつあんが
手薬煉(てぐすね)引いて やって来た

夕焼けに 照らされて
仕事後の汗も 黒く 光る

見上げたら ノムラさんとこの坊やは
遊びに飽きて 溶けてしまった

なあ 昼間は
あんなに白くなっていたのに

脅えた目をして
一体 どうしたんだい?

綺麗な光に 包まれながら
ゆっくりと 考えて みなよ

そんなに 青筋 立てないでサ
なあ どうだい 仲良く生こうゼ


自由詩 春一番 Copyright 藤鈴呼 2014-09-21 00:07:16
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