カチューシャ
藤鈴呼



きゅっと結わえた髪が
頭の中を クリアにする

カチューシャは
ハワイの香り

正月までの 気忙しさを
すっかり 忘れて

雪なんて 世の中に
存在しませんヨ とばかりに

大きな 鉄の鳥で
遠く迄 飛び立つの

ゆらゆらの ダンスとともに
首に燈った 彩りの花

それを 思い出しながら
手元のティッシュで 花づくり

何かの祝い会 運動会
壁際に 幾つも 飾ったでしょう

真ん中を ホチキスで 留めてね
一枚 一枚 広げて行くの

何となく 花に 見えるのよ
氷の花みたいに 不思議だった

内側から くり貫いて行くと
いつの間にやら 花が咲く

ウインドーショッピングみたい
外側から 見つめるマネキンは
何時だって 楽しそう

世の 憂い 全て 捨て去って
笑って いるから

脳みそに 花を 飾る
ぽお とした 冬の寒さ以上に
キリリと 締まるよ

物語に 埋もれた瞬間
ワタクシを 包む
もう一枚の カチューシャが
完成するのです

歓声に 呑まれて
現実の世界に 飛び出せば
目の前に ステキな カチューシャ

ねぇ お姉さん
これ くださいな
お幾らですか


自由詩 カチューシャ Copyright 藤鈴呼 2014-09-05 21:58:04
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