山元よしお
馬野ミキ

ふと視線を感じて振り返るとおっさんがいた
うちの家のなかである
知らない人だ
こたつでせんべいを食べている
「君はコンピュータばかりしているが何かねプログラマーかね?」とおっさんに言われた
俺は、「いえ、作家です」と言った
「君の本なんてどこにも売ってないじゃないか」とおっさんは言った
一体何なんなんだろうというか ぶしつけな
誰なんだよお前は
するとおっさんは「私は山元よしおだ」と言った
いや名前とかじゃなくてどういう存在なんだよ どういう関係性なんだよ
なんでうちにいるんだよ
どういう理由でうちでごく自然に普通にくつろいでいるんだよ
そんな怒りの目でおっさんを睨むとおっさんはにわかに消えていった
寂しそうたであった
「ここだって宇宙だろう 関係ないところなんてないじゃないか」
おっさんはそう言って消えた

雨足は強さを増した
しばらくすると小学一年の息子が帰ってきた
ずぶ濡れであった
服を脱がせ靴と帽子をサーキュレーターで乾かす準備をした
息子は自分で風呂を沸かして湯船で温まった
今ではボタン1つで、まあ2つか 2つで湯がわくのである
風呂から出て息子は3DSをはじめた
息子は学校での出来事はほとんど喋らない。


自由詩 山元よしお Copyright 馬野ミキ 2014-09-03 19:01:46
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