黒猫とタンポポ
藤鈴呼



軋む葦を 隠れ蓑にして
僕は 歩き続けた

春に成れば
ふわふわ の
アイツに 会える

それが 何よりも
楽しみだったから

あんなにキレイな 月世も
湖から 消えてしまった

湖面に映る もう一つの物語が
大好きだったのに

残念だ
無念だ

泪を落としながらも
歩き続けた

黒猫の 軋む脚に
葦が 絡まる

白鷺が 我慢強く
佇んで生る

スッと 気高い 格好良さに
心 打たれて

思い出した
ふわふわ の アイツのコト

とても 華麗に
空中を 飛び回るから

お前は 本当に 自由だネ
いつだったか
からかった コト

アイツは 黄色の花びらを
ヒラヒラさせて
踊っていた

笑う ダケじゃ なく
おどける ワケでも なく

楽しそうに
微笑んで いた


自由詩 黒猫とタンポポ Copyright 藤鈴呼 2014-08-28 20:26:11
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