特に何もない日
馬野ミキ

昼前に起きた
妻はiphoneをポチポチ
子供は3DSを見つめている
多分朝からこうなのだろう

子供がまだ自転車に乗れないので無理やり外へ連れて行く
大切なDSの時間を奪われ悲しそうな顔をしている
さあお前なら漕げる
行くぞ離すぞ
ブレーキをかけて足をつけばこけたりしないんだ
漕げ!とにかく漕げば進むんだ
恐れるなクソガキ!漕げ漕げばうまくいくんだ!
何故諦める?
怪物なんていやしない
ただの道路だ 大地だ
何を恐れる!?
お前は前に進むんだ!

結局最後には10m弱漕げた
息子も少し自信をもったみたい
だが俺は疲れた
帰ってハイボールを飲もう
俺の子供ともあろうものがたかが自転車に苦戦をしいられている
なんてこった
俺の子供は空を飛べるのだと思っていた

家に帰ってjazzを聞いた
サントリー角のCMのウイスキーはお好きでしょからjazzに傾いた
ジャズとボサノヴァの合いの子みたいなのが好き
ボサノヴァギターはさすがに弾けないのでピアニカでデタラメなJazzを吹いた
そうすると息子も3DSをやめてピアニカを吹き出した
息子の知ってる曲を軽く弾くと僕にも教えて!と
紙にドレミを書く
最初はゆっくりでいいんだ
うまく出来なくていい
1つ1つ音を確かめて
少しずつうまくなるよ
なんで諦める!
ちょっとつまづいだけだで・・
なぜこんなにも簡単に諦めるんだろう
お前の好きな曲を吹きたかったんじゃないのか
俺の子供はへたれなのか
白ワインが切れた
妻はiphoneを見つめている

おでんの具を買いに行った
帰りに雨が降ってきた
横断歩道でこんにゃくが落ちて少し路上を跳ねた。


自由詩 特に何もない日 Copyright 馬野ミキ 2014-08-12 17:51:39
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