タオル
藤鈴呼



暗闇に溶けた膿を
ゆっくりと 取り出す為に
タオルを 絞る

くねくねに
歪む 表情は
ちょっとダケ
じれったい

ちゃぷん と
湯水に漬けたら
とって置きの漬物が
完成しそうだ

歓声の溢れる広間で
本当に溢れるのは
飽和状態になった
幾つかの 想い

気持ちが 重いからと
煙たがられた 過去も
思いのままに 書き殴った
幾つもの 掲示板への カキコも

キコキコと
一つずつ
ネジを 閉めたなら
それで 御仕舞

今日は 閉店ですヨ
ガラガラ ピシャン
冷たい 音がする

ぴちょん
搾り出した 唇の中から
新しい言葉が 飛び出して
蛙に成った

もう帰ろうよ
お家は もうすぐ
どうして いつまでも
ウジウジ しているの?

見上げた 純粋無垢な瞳が
キラキラと 瞬き過ぎて
直視 出来ない

その 輝きごと
全て タオルで
拭き取って しまった


自由詩 タオル Copyright 藤鈴呼 2014-08-07 09:43:13
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