夕景
服部 剛

遠い夕陽の揺らめく畑で
夫は手にした鍬で土を耕し
赤子をおぶる妻はそこへ
種を蒔く

貧しい日々の暮らしに
俯きあう
ふたりの野良着は
仄かな金に縁取られ

夕陽に瞬く無数の種は
畑の穴へ、ちらちらと
妻の指先を離れる  







自由詩 夕景 Copyright 服部 剛 2014-07-18 23:29:18
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