みんなうたわなくなった
はるな


みんなうたわなくなった
夜も 朝も 雨の日も
すっかりあかるくなった
鼠はいなくなった
もぐらはとっくに死にたえた
人びとは 健康であった

ギターもピアノも自動で鳴らされる
楽譜どおりに「情緒的」に
ページはめくられる
七分間に1ページ進むのだ
ドーナッツは
しかるべき個数だけ配られる
きわめて平等に

世界はすっかりあかるくなった
坂道は均されて
犬たちのための専用コースがつくられる
鳥たちはなぜ自分が飛ぶのかを理解しはじめる
きまった時間になると
音階が鳴るのだが
もうだれも
うたわなくなった





自由詩 みんなうたわなくなった Copyright はるな 2014-06-22 01:09:44
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