研修
葉leaf




カードのようにシャッフルされた僕たちは
必然的なものなど何もない真空で
必然的なまなざしのせめぎ合いを生み出そうとしていた
人間という強い酒杯を次々と飲み干しては
したたか酔って二日酔いだけが残された
僕たち濃密な距離で言葉を量販していたけれど
いつか思い出の中の落書きに過ぎなくなってしまう
仕事の話や出身地の話
事務的なうわべの話はどこまでも盛り上がるけれど
日々が深まるにつれて君たちの深まりは僕の深まりと方向をたがえていった
君たちはどこまでも砕けていきたいんだろう
僕はどこまでも凝固していきたい
孤独や成熟や社会についてきっかりと思想を固めていきたい
個人に秘密など何一つない
集団の頭脳に宿る意志や感情こそが重大な秘密であって
僕は集団の秘密からは拒まれ続けたが
集団の秘密を華麗にかっさらってくる若者のなんと多かったこと
つまりシャッフルされたカードである僕たちは
人に酔いながら必然的に集団の秘密へと至るはずであったが
僕は人に中毒し集団の秘密がますます神秘的に見えただけであった
だが表向きの必然性など研修の意味を狭めるだけ
僕は自分自身に根差した必然性に沿っていた
研修を裏切った僕は研修に勝利した分荒地で目的地を失った


自由詩 研修 Copyright 葉leaf 2014-06-14 09:43:14
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