西瓜の種
服部 剛

包丁を、ざっくり押しこんで
西瓜を割る。

無数の黒い種達は
それぞれの姿勢で
つややかに埋まっている。

――どうせぺっぺと吐き棄てられて
  土から芽を出すのでもなかろうに

まあそう冷ややかな目で見ることなかれ。
彼等は、自らの存在を歓んでいるのだ。

あぁ僕は、一体いつから忘れたろうか?
種一粒のつややかな
命の軽さ、また重さ。  







自由詩 西瓜の種 Copyright 服部 剛 2014-05-28 21:14:52縦
notebook Home 戻る  過去 未来