レマン湖にて
吉岡ペペロ



山間の駅から

緑のパノラマをぬけてモントルーに向かう

ずっとハイジの風景が続いている

そこには少女や少年はいなかった

岩がせりあがったようなアルプスの山々

急峻な斜面にたんぼは無理なんだろう

草しか生やせないのだろう

草を食む山羊たち

さすが山の羊と書くだけあって

草の斜面を滑り落ちる気配はなかった

アルプスの急峻な草の斜面には

ハイジもペーター、ましてやクララなどいなかった

そこで暮らすひとたちの故郷を

ただただ見つめていただけだった

ぼくらはそこになにをみとめているのだろう

あったかも知れないべつの人生だろうか

ハイジを観ていた昭和のころの思い出だろうか

レマン湖をのぞむホテルに着いた

明日はネスレの本社にゆく

ブランドの成り立ちを探しにゆく

ブランドとは高付加価値のことではない

他者がみとめた価値、それがブランドだ


携帯写真+詩 レマン湖にて Copyright 吉岡ペペロ 2014-05-21 20:23:02
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