初めて入院する夜に  
服部 剛

深夜、火がついたように
泣き出した2才の周は
生まれた時と同じ病院に
急遽、肺炎で入院した

生まれて間もない
ちっこい周を世話してくれた
懐かしい看護師さん達が
「あらあら、かぜがひどいわね
 だけど、大きくなったわねぇ」
ぜいぜいぴいぴい息する周を
懐かしそうに、囲んだ

周よ、初めての入院の夜
暗闇にぱちり、と目を覚ますお前は
両目いっぱいに涙を溜めて
ママを探して、叫ぶだろう

パパももしも、お前のように
暗闇に独りぽっちなら
恐くてびくびく震えるだろうから
今はせめて、ママにすがりつきなさい
そうしてパパも帰る前
お前をぎゅっと抱きしめてやろう…

誰もいない夜に泣きじゃくっても
パパとママは少し離れた同じ空の下で
いつもお前を案じているのだから
お前はお前の夜と、闘いなさい

そしていつか――
お前自らが
暗闇に芽生える光の笑顔で
周囲をあまねく
照らすひととなるように  







自由詩 初めて入院する夜に   Copyright 服部 剛 2014-05-06 20:22:01縦
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