二十一歳
アオゾラ誤爆

いつもの窓からは
光が差している
塗装の剥げた電車が転げている
昼すぎに、森の気配は
いくつかの季節を巡る


まだ青い瞳で
私は階段を昇っていく


となりの部屋の人たちの
笑い声がする
後輩は
煙草の匂いがする
いつものやり方でノートを開く
きっと賑わう時間が
途方もなく積み重なった
私はここを手放すのだ


思い出せなくなるのは
こわいだろう


やっとの思いで
かたい、固い殻を割ると
水のように清潔な心は
私の手から逃げてしまった
おそらくもっと
低い方へ
流れて
均されていく


熱のない春に
花の名前を ひとつ忘れて

私は誰に会いにゆけばいいんだろう


自由詩 二十一歳 Copyright アオゾラ誤爆 2014-04-20 02:27:05
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