薬の話
藤鈴呼




知ってるわ
処方箋と 分量に 服用回数
全て守れば
私は きっと 
護られる

だけど ちょっと
スリルが 欲しくて

ちょっとした スリルが
スルメみたいに
ベタクタと いつまでも 続くだなんて
思わなかったの

だって そうじゃない?
しつこい位に 街を染めた雪だって
雨と一緒に 溶けるんだもの

飴でも 舐めながら
一曲 歌っている間に
ウイルスくんは
食道を 通過するって
信じて いたの

だけど ちょっと
違ったのね

案外と しつこくって
アラレみたいに パラパラと
可愛い角度でも なかったし
何だか ちょっと
みみっちいの

半透明の 紙を開いて
オブラートで 包んで
嗚呼 錠剤の方が 好きだったって
呟きながら
飲み砕くんだわ

あなたに 今 伝えたかった
全ての 台詞を


自由詩 薬の話 Copyright 藤鈴呼 2014-03-16 13:53:59
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