わりかん
藤鈴呼




缶を一つ 割りました
あなたが うふふと 笑いました

笑顔の空気が 広がったので
缶は パンパンに 膨れました

もっと増えて 欲しいので
踏み潰して 切り離して バラバラにして 
空に飛ばしたら
頭に突き刺さって 血が滲み出ました

ほらね やり方を間違えると こうなるのよって
雲の上から あなたが うふふと 笑いました

その笑い方が とても 懐かしかったので
私も うふふと 笑いました

笑顔の空気は もう一度 伝染して
あたらしい気流が あたらしい缶の素を 
呼び寄せて来て
ぴったりと くっつきました

今 目の前には 笑顔の缶が 広がっています

どれだけ 大きくなることでしょう
ちょっと それが 楽しみなんです


自由詩 わりかん Copyright 藤鈴呼 2014-03-14 18:16:31
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