冬季休園
藤鈴呼




とのさまバッタ ユビに乗せ
ちょん・ちょこちょんと 鼻歌 打てば
ピョーンと 飛び出す ぴょん吉のよう

*

階段を ポンポンポンと 小気味よく
登る手前で キミにほだされ

*

隙間なく 埋めた指の間 すり抜けた
キミの命と 今日は引き換え

*

コスモスに 止まる蜂キミ 痩せこけて
背景の桃色で誤魔化し

*

秋色の釣瓶落としの其の前に
哂う釣鐘草の如しに

*

まるで小さな鈴を 幾つも繋ぎ合わせたような
濃い桃色の花に見とれて

*

萩の花だと 貴女の言った
鮮やかな蝶が 夏の終わりを彩るような 光景
曇天も 美しくて

*

古ぼけた ポストを見つけた
懐かし過ぎて 
扉を開ける 権限を持ったアナタを
心底 羨んだ

*

道路から見える位置に 幾つもの彫刻が有る

*

通り過ぎる風を捉えて シャッターチャンス
幾つも 幾つも 掘り進めた
いつかの思い 握りしめ
彫刻公園で 見つめ合う あなた と わたし
いつかの あなた と わたし?

*

車窓から愛でる 姫神の山
迎え撃つのは 岩手山
いえ本当は 愛し合う 山並みだから
どうか 仲良く
雄々しい 岩手の山と
何処までも 美しい 姫神の地に 抱かれて

*

ぷらりんと ぶら下がる キミは枝豆?
それとも そら豆
空を眺めながら どちらなのかと問えば
彼方から 応えが舞い降りて 来るような
錯覚

*

さるのこしかけ
木の途中に有る 平たいキノコを見つけて
あなたは 言う

猿が丁度 腰かけられる大きさだからね
ふーん

昔は もっと大きい サルノコシカケが
あちらこちらに あったもんだよ
ふーーーん

*

綺麗に剪定された植木
昔よりは 少し 近い気が している
明日からは 冬季休園


自由詩 冬季休園 Copyright 藤鈴呼 2014-03-03 14:47:15
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