モ・ガンボセッションを、聴きながらーちぐさにてー  
服部 剛

3年前の3月11日にり・ぼーんした
横浜・野毛のジャズ喫茶・ちぐさにて
「詩とジャズの夜」というライブをやることにした。

店長の島さんを「マスター」と呼べば
「マスターは今もあの、おやじさんですよ」と言い
モノクロポスターの世界の中で
微笑むマスターをちらり、見る。

その、おやじさんこと吉田衛記念館は
り・ぼーんしたちぐさの2階にあり、
2階の壁には、英字新聞の
「JAPANTIMES」の
(ちぐさ・新装開店)の記事が貼ってあり
「横浜ジャズ物語」の本が、飾られている。

島さんとの打ち合わせで、
明日のポエトリーリーディングの
BGMを選びつつ…

「僕の詩人の先輩の植木肖太郎さんって
 あの幻のモ・ガンボセッションをやった
 モ・ガンボの店主の植木幸太郎さんの
 甥らしくてね…」

「えー…!まじっすか?」

「いやいや偶然だねぇ…どうやら明日は
 素敵な夜になりそうだ…」

打ち合わせを終えて、1階の店内へ
狭い階段を下りた、僕は
「モ・ガンボセッション・54」
のレコードを、リクエストする。

――そこは、60年前の伊勢佐木2丁目の本通り  
幻のライブで渡辺貞夫のサックスは、獣の奇声を吠え
夭折のピアニスト・守安祥太郎の長い指は
時空を越えた鍵盤の上で、小躍りする
泉のように湧き出る無数の音符等を、ばら撒いて

瞳の前に、両手をぎゅ…とあわせた、僕は
ちぐさから天へてれぱしいを、送信する――

(はじめまして、守安さん…1月25日の
 土曜日は、よかったら
 時を越えたちぐさで煙の漂う夢の夜に
 ふらりと、遊びに来てくださいね)  







自由詩 モ・ガンボセッションを、聴きながらーちぐさにてー   Copyright 服部 剛 2014-01-24 23:59:43縦
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