呼び声ー高村光太郎展にてー  
服部 剛

横たわる死者の耳は、空いている。
薄ら目を、開いている。
顎を天に上げつつ
何か、ものを云おうとしている。

力強い耳朶から
渦巻いてゆく鼓膜へ
吸いこまれそうに視る、僕は

鼓膜の奥に廣がる死者の宇宙へ届くよう
精一杯に吹きこむ祈りの声音こわねを、響かせる――  





   


自由詩 呼び声ー高村光太郎展にてー   Copyright 服部 剛 2013-11-25 23:20:32縦
notebook Home 戻る  過去 未来