今日は誰かの誕生日
中村 くらげ
また新しい朝が来て
見慣れたカーテンの隙間から
初めて出会う光が射す
窓の外は少し寒そうに
木の葉が遊んでいて
足元を這う蟻はせっせと
冬の支度を急いでいるの
この部屋に引っ越してきた頃より
僕は少しだけ髪が伸びていた
散らかったり片付いたりを繰り返して
この部屋はいつも新しくなっている
日々の汚れを纏いながら
毎日新しい朝日を吸い込んでいる
今日は誰かの誕生日
明日は誰かの命日だ
おめでとうやありがとうが
ビンゴゲームみたいに
太陽はのんびりと朝を運んでゆく
夜はこっそりとそれについてゆく
おはようとおやすみが
ドミノ倒しみたいに
君が眠っているあいだ
知らない誰かのパーティーは続く
僕が眠れない夜はいつでも
世界のどこかで雨が降っている