5
きるぷ

幾度も飽きずに眺めたあの絵を
休日の人ごみの中に探していた

さーっとなにかがあたまをよぎって、
その時にはもう

それがどんな絵だったかも忘れていたから、
やっぱりいつもこんな意味のない時間ばかり
繰り返してる気がする


星が周り季節が周り、
風景もぼくも周って、
輪っかのなかにとじこめられて、

この阿片窟のような休日には、
みんながみんな、
粘性の夢のようなものを吸っては吐いているのだろうか

(ぼくはラッパの音を想像している。
 存在しないものであるから。
 ラッパの音は鋭く大気を裂いて、
 おそらくはただそれだけなのだ。)



昔よく積み木で遊んだ。ぼくは好んで城を作った。敵に見立てたプラスチック製の小さな人形を、幾つも城の周りに配置する。そしてぼくに見立てられたやはり小さな人形は、城の奥で彼らの襲来を迎撃すべく備えていたのだった。コーヒーカップの表面に照り返る電球が揺れるのを見ていたら、そんなことを思い出した。積み木は星の配置に絵を見出す作業にすこし似ている。そんな連想をしながら、星座を見出したひとたちの想像力のことを思った。


自由詩 5 Copyright きるぷ 2013-11-08 04:01:51
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