はじまりの日
服部 剛

川の畔の土手に腰掛け  
考える人、のポーズを取る私を  
周囲で風に揺られる秋桜コスモスの花も  
飼主に引かれ、小道を従いてゆく犬も  
みんな秋の琥珀の黄昏に包まれて    
各々おのおの時の川の流れる夕闇へ――  

遠い都心のビル群の  
影絵のあい間に陽は沈み  
明日の陽はふたたび  
東の地平に顔を出す。  
そうして私は自らの   
新たな産声を(第六感)で聴くだろう――  

川の流れる夕闇の先へ  
広がってゆくいのちの海よ   

私も、花も、飼犬も、樽の姿で  
からだに空いた一つの心という穴に  
風の息吹のふき抜けるまま  
海の彼方あなたに浮いています。  
それぞれの夜を越えて明滅する、星空を仰いで――  

やがて明け方の空に昇る
朝日の宝石は散りばめられるでしょう 
世界の初めの日のような  
ひかりの海に  







自由詩 はじまりの日 Copyright 服部 剛 2013-10-08 21:11:12
notebook Home 戻る  過去 未来