131008
満員のスタジアムからはみ出した歓声が
ここまで聞こえてくる
敗者の立場がないと思うのだけど
彼処では誰もそんなことを気に掛けちゃいないんだよと
拗ねた熱気が冷めるまでの宿題を片付けている
熱気があるうちに処理をしないと
冷めてしまえばどんな材料でも硬くなってしまって
なかなか簡単には再処理できなくなるんだよ
どこだって誰だってどんな材料を使ったって同じようなことさ
いつまでも続けられると思ったら大間違いだぞと
隣町の鍛冶屋に言われるまでもなく
鋼鉄は熱いうちに打つのだとは知っていた
台風24号の接近に浮き足立っている
それから25年が過ぎ猛烈な砂嵐が襲い
火星基地が半ば埋もれてしまったようだとの周回衛星撮影映像が目に入る
あれくらい埋もれたって大丈夫だとは知っているけど
水が貴重な火星の地表で大量の砂を取り除くのは大変だな
カウチポテト族の一員の僕に蝶ネクタイの似合う先々代のきつい小言が飛んできた
何度も知ったかぶりを吐くなを繰り返すので
父はいつも寡黙だったなと今更に思いだす
勝ち負けを超越し
海峡を飛ぶのを眺めていたかったのかもしれない
爆発するものが無かったわけでも無さそうだ
気にする僕と気にしない君
飛んでいるときは同じだよと
ラジオが語っているが・・。
初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)
http://anapai.com/tanpatsu/goru/
タイトルは、赤司さん。