おもてなし妖怪2013
るるりら

OMOTENASHIわたくし 妖怪 おもてなし と申します。
わたくしの体のほとんどの部分は 水とコラーゲンなのでございます。
人間の水分量は たったの六割だそうですね。 
よくそれで生きていられるものでございます。


ようこそ 当店へ
そうですわよ 絶望とかは
当店に 沈めてしまえば よろしいのです。きっと
無数の虹の輪ができますわよ。


今日も この小料理屋で
故郷の深海を夢見ますの、
深海に棲む生き物の腹の内は みな腹黒い連中なのでございます。
透明な自分に あきあきしております。
深海に棲む生き物は 透明なものが多いのでございますが
基本的には みな腹黒いのでございますよ。
身体が透明ですと 食べたものが透けてみえるではございませんか
ですから 胃腸を包んでいる部分は 黒いのでございますよ。

腹黒い 私たちではありますが
わたくしにも 夢がございまして 
2020年には 東京出店にむけての準備をしておりましたの。

五輪の光を受けて翻る わたくしの鰭よ ! 


などと、夢をみていたのは 昨日までのお話ですわ
わたくし 今朝も練習しておりましたのよ。 
OMOTENASHIといって合掌して、微笑みましたら 
今日は みなさま私を「アンコウ」とかと お呼びになり
わたくし、ただいま 吊るされてしまっておりますわ。

いやですわ わたくし 妖怪の中の妖怪 その名も おもてなし
いやですわ わたくし 妖怪の中の妖怪 その名も おもてなし
あ いま わたくしの身が 表と裏に 剥がれますわ

あら あなた 泣いておられるの?裏の無い方ね。


わたくしは、 おもてがないのでございます。


自由詩 おもてなし妖怪2013 Copyright るるりら 2013-10-03 08:10:25
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