羽矢と霧矢
あおば

              130903
ほい!
無防備のままに
投げ出された女の主体を
無自覚に踵で踏んづける
宿命的に対立の朝
鈍い目をした顔だけの男は
足音も立てずに目を背ける
ハイヒールの踵が踏んづける
ローファーが跳び越えて
スニーカーは蹴っ飛ばし
生み出された僅かな隙間を
半長靴がどかどかと音を立て
長靴の列が蹄を鳴らし
訓練は首尾よく終了したと
9月2日が暮れる
9月3日の約束は
あっさりと無視されて
お祭り広場には催涙瓦斯が漂い
サリンのお迎えの準備を調える
存在をお迎えするのが怖い方々が
花束を解き
煌びやかに祭壇を盛り立て
存在世界を祝福しているみたいだ
日時を違えたそそっかしい者だけが
内幕をかいま見られるのだとしたら
ハネヤとキリヤの乳姉妹が
両手を繋ぐようなものなのだろうか
その様を上空から伺うと
○印に見える日と
×印に見える日とがあり
右手は右手
左手は左手とで手を繋ぐとしたら
双方互いに両手を交差させる必要があり
その結果を俯瞰すると×印となる
○印にしようとしたらと
双方、差し出されて左右の手を繋げばよい
弁解しょうもない失態をしでかした宵は
鏡に映った顔を眺め
手を伸ばして握手する練習をする
都合のよいことに
姿見に映った本人とだと
右手と右手
左手と左手とを繋ぐと
○印になるのだと気がついた
詭弁だと知りながら
もう一度姿見で確認する









初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)
  http://anapai.com/tanpatsu/goru/


少し書き直しました・・。130903





自由詩 羽矢と霧矢 Copyright あおば 2013-09-03 00:18:49
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