アンドロメダに向かってハンドキック
komasen333


悲しみは拭えない
わざわざ拭おうとも思わない
一生分の悲しみを抱え込んだまま
何も、それは私に限ったことじゃない


虚しさは払えない
わざわざ払おうとも思わない
一生分の虚しさを背負い込んだまま
何も、それはあなたに限ったことじゃない


もう一度会えたら
もう一度話せたら
想い描かない日はない


もう二度と会えないのに
もう二度と話せないのに
想い描かない日はない


つまらない動機で
殺人なんかしてないで


つまらない大義で
戦争なんかしてないで


わかった顔して
簡単にスルーしないで


忙しそうな声して
簡単にフェードアウトしないで


その喜びに寄り添う詩を
その怒りに寄り添う詩を
その哀しみに寄り添う詩を
その楽しみに寄り添う詩を
なんとか書けるようにと


会えるのに、会いに行かなかった
話せるのに、話そうとしなかった
抱きしめれるのに、抱きしめなかった
分かち合えるのに、分けようとしなかった


最後の電話が
克明にこびりついたまま


現実は物語になりがちで
物語は感情に流されがちで
感情は感化に脆弱すぎて
自分で自分の輪郭さえ満足になぞれない


思春期から続く
漠然とした空白、空白、空白


また会いたい
また話したい
また抱きしめたい
また分かち合いたい


会ったこともないのに
話したこともないのに
抱きしめたこともないのに
分かち合ったこともないのに


その誰かを
その何かを
ありありと思い浮かべながら
幻想の湖畔に佇んだまま


誰に届けるでもない
何に捧げるでもない詩を
1篇、2篇、3篇と
今夜も、アンドロメダに向かってハンドキック


自由詩 アンドロメダに向かってハンドキック Copyright komasen333 2013-08-29 01:46:31縦
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