ここにいてもいい
あおば

              130809




ダーツで的の真ん中を狙う
初めて握ったダーツの矢は
鉛のように重く
指と手首等での感覚を迷わせる
いつまでも躊躇しないでくださいと
係員の声が聞こえるような気がして
えいままよと手を振りかざし
適当な位置でゆびを放つ
ふらふらと飛んで行き
的を大きく外して落ちる
まだ2回残されているのに
諦めの心が育ち
感覚が定まらず
2回とも的を掠りもせずに
落ちる
ガラガラポンの抽選機と異なり
経験と熟練が物をいうダーツ投げは
初めての者には不利だ
というよりも残酷だ
むらむらする怒りを胸に畳み
もうこの街の商店街では買い物をしたく無くなった
年に一度の大売り出しの目玉は大きな目を拡げ
またお出でと
瞬きもしないでみんなを見つめている
情報が吸い取られ
管理されてしまうような
同心円の的を見ると
だれでも買い物をしなくてはならないと
思うのかも知れない
少しの訓練の機会もなかったものを除いて







初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)
  http://anapai.com/tanpatsu/goru/
  タイトルは、ほかけさん


自由詩 ここにいてもいい Copyright あおば 2013-08-10 00:10:51
notebook Home 戻る  過去 未来