神殿  
服部 剛

無数の髪は今日も伸び 
目は開き 
耳は聞き 
鼻は吸い 
口は吐く 
首は支え 
手は掴み 
左の胸は一生涯とくり、とくり、と脈を打ち 
腹は昼頃、鳴るだろう 
そしてお尻はもよおすだろう 
夜間の精巣に種は増殖し 
目覚めれば 
この両足は今日も何処かへ、私を運ぶ 
全てはその時々 
脳が指令を出しており 
脳を(創造した者)は 
自らの姿を世に現すこともなく 
時に 
風となり 
雲となり 
草や花や蝶となり 
頭上に広がる青空は 
全ての存在に無言で(よし)と云うだろう―― 

僕を 
あなたを 
ありのままに流転する、この美しく汚れた世界を  










自由詩 神殿   Copyright 服部 剛 2013-08-02 23:59:34縦
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