朝の目覚め 
服部 剛

心象の野原に並ぶ 
秋桜の群のひとりは 
しきりに、揺れて 
無音の声で僕をみつめ、囁いている 

花弁の淡い唇をみつめるほどに 
野原は時のない国になり―― 
若き日の父母の間に 
手をつなぐ 
無邪気な僕の笑い声が 
はっきり響く、夢の青空 

  * 

目が、覚める。 
暗がりの、朝。 

雨戸の細いすき間から 
一条の日がこちら側に射している 

そういえば―― 
風邪をひいた妻と子は下の階だと、思い出し 
のびをする 








自由詩 朝の目覚め  Copyright 服部 剛 2013-06-11 22:33:24縦
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