ボビン
藤鈴呼

ギリギリ 覗き見 出来た景色が 
全てだとは 思わないで欲しい と 
君は言った

君の言った 言葉の意味を 
直ぐに 理解 出来たならば 
問題は 無かった

煮詰めたり 解き放したり 
切り刻んだり 貼り付けたりして

元通りの パズル柄に 仕立て上げる
予定だったのだ けれど

上糸ダケで マフラーは編める
と 信じて居たのが 
いけなかった

下糸や ボビンの存在を
知らなかったから 

ミシンは 昔ながらの オルガンと
同化したまま 
僕はどうかしてしまって

そもそも マフラーを 編むならば 
細編みか 長編みを すれば良い 話で

鈎針か 棒針かで 悩む必要は 有っても
椅子に座る 必要なんて 無かったのに

ちょっと ピアノ線に似ているなぁ 
なんて 妄想から 
思想が ブッ飛んじゃって

お正月には 凧揚げしたよなぁ 
と 思いながら 
埃塗れの タコ糸を 探したら

ミシンの先に 
ひっからまっていた モンだから 
其れが 全ての 要因だったんだ

嗚呼 何となく 理由が付いたから 
一服をする

何も 言えぬ 状況が 
やっぱり 不安 だったから

取りあえず 口を 開いておけば 
新しい空気を 吸えるんじゃあ ないかって
少し 勘違いを していたんだ

★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・°


自由詩 ボビン Copyright 藤鈴呼 2013-05-30 19:17:13
notebook Home 戻る  過去 未来