透き通った女の目 
服部 剛

目が、後ろから、僕を視ている。 
空気に溶けた、透き通った目 
の 
声がする 
(負けないで…) 
なんでこんなにもじんわり 
ハートに滲み入るのだろう 
(どくり…どくり…どくり…) 
もう、この世にいないひとなのに 
体の消えた歌姫なのに 
(音の無いなまの歌声は
 ふいに耳元に囁くのです――) 
日々の場面に 
どん! 
と 
足を踏み入れる時 
その女の 
声援を秘めた熱いまなざしは 
不思議なほどに 
たよりない僕の背中をぐいと、押し出す。 








自由詩 透き通った女の目  Copyright 服部 剛 2013-05-29 23:38:14
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