有鱗木
あおば

           130520


いちぬけたぁ!
宙返りする鱗木の
目玉を刳り抜き目薬点せと
腹の木霊に殴られた
広々とした草原を見晴らせば
有袋類が跳んで行く
輪郭線を消しながら
鳥類魚類は水の底
空飛ぶ小鳥も溶けたなら
宙返りする子供らは
琥珀色に染まるかな

いちぬけた
にぬけた

いなくなった草原で
もくもく食んでる有鱗木が
ぐるりと辺りを包囲して
宙返りする子供らを
一網打尽に捕まえて
真っ赤な夕日で焼き上げて
旨い旨いと平らげる
いつもの平和な日が暮れた

四人の男が息絶えて
五体投地を繰り返す
有鱗木も走り出す
琥珀の相場も慌てだし
訳も分からず揺れている
宙返りする快感に
誘拐された腹いせに
お金を払う季語でした






自由詩 有鱗木 Copyright あおば 2013-05-20 11:38:31
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