鏡のなかの鏡—迷宮
あおば

                130517



4畳半神秘体験
なにそれ
冗談じゃありません
今すぐ帰らせてもらえませんかと言ったって
この長い行列の人達を放置しておいて帰れるもんですか
わたし達にもできることとできないことがあり
できることはやり遂げなくてはいけません
怠けていたら地球自体が壊滅してしまうのですから
点けっぱなしのテレビが叫ぶけど
熟睡中の主人公
ファンタジィーが好きなので
何回も
パワーモード全開で叫ばれても
巧く自分の気持ちを高めることはできません
光ったら
源に向かう
それがファンタジィーの叡智だが
光に跨り先を争うは大人の戦略
チェンネルを変えようとするのは古くさい欺瞞
戦略的欺瞞が悪玉コレステロールのように
体内にも蓄積され
パワー減退
もはやいかなる源に向かうのも困難にしてしまう
今のうちに微かに感じるだけでも
空恐ろしい神秘体験を克服するために
送料無料の翡翠ブレスレットを注文しておこう
明日になる前に
帰宅して
ぐっすり眠って
パワー回復
なんどでも
川の流れを遡るために




初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)
  http://anapai.com/tanpatsu/goru/
  タイトルは、メチターチェリさん





自由詩 鏡のなかの鏡—迷宮 Copyright あおば 2013-05-17 21:20:28
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