井戸の底にて
服部 剛
深閑
(
しんかん
)
とした井戸の底で
今夜も私は、
蹲
(
うずくま
)
る。
遥か頭上の丸い出口の雨空に
嵐はごうごう、吹き荒れて
木の葉がはらはら、鳴っている
遥か頭上の丸い出口を
今日も他人の足は
跨
(
また
)
いでいった――
(何故、人の心はあんなに遠い…?)
いつしか眠りに落ちた夢の中
いのり重ねた両手の皿に
濡れた葉が一枚、落ちてきた。
仰いだ遥かな丸い穴にひかりは溢れ
こちらを覗く黒い影が、私を呼ぶ
「私はあなたに、会いにきた――」
自由詩
井戸の底にて
Copyright
服部 剛
2013-04-16 20:52:22
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