ブリキの森と紙の古城とウルサい湖畔の魔法
あおば

              130331




回転体の慕情と怒りが大震災を引き起こすのだと
新聞紙上に描かれたイラストをトレイから溢れた汚水が消してゆく
絨毯ごと売ると猿が断言するから買ったつもりでランプの魔神を呼び寄せ金貨一袋と引き替えに時代考証不能な薄汚れた虚像に描かれた古人と個人が釣り合う瞬間というかイメージが重なる時刻が来たので
釣り銭は要らぬと格好を付けたつもりで深夜料金を気にせずにタクシーを降りた
内陸で起こる地震ほど恐ろしいことを知らぬ熟睡する隣人どもに憤怒の怒りすら覚えるが
彼等は津波が起こらなければなにも恐れることはないと多寡をくくっているのだ、だから、何度でも過ちを恐れないのだ
街中が炎に呑まれ灰になるまで何日も炎上することだってあるのだよと
猿にも分かるカラーイラストを動画変換する作業を昨晩から開始した制作担当の男は徹夜続きのイラストレーターがトイレから逃げないようにさりげない態度で気配を殺し裏口の鍵を掛け直す
気配を殺された大震災イメージは静かに行動を開始するように垂直に昇りつめるまでに高度と強度を増し成層圏との境に達するや、やおら横方向に進路を変え、いつの間にか茸形の体制を整えPM2.5の濃度を高め内陸都市全体をすっぽりと包み込む
パオといいながら包み込んでいるのだが生憎周波数帯が異なるので猿の耳にも人の耳にも聴き取られる恐れはないのでそのことは誰にも知られていないだが、野生種の犬だけが微かにその音を感知しては猿どもにも伝えようとおっとりとした遠吠えを開始する
その声を聞いた人類は煩い奴等だと銃口を定めて弾丸をぶっ放す
初速度に劣る弾丸は放物線を描き遠吠えの包絡線を掠めながら飛んで行き稀には野生種の耳許に落下することもある
落花生ならばすぐに口に咥えるのだが、鉛の弾丸では洒落にもならぬと野生種は人類の愚かさとサービス精神の欠如を恨み
何度でも遠吠えを繰り返すことになる
月の無い夜に聞こえる野生種の遠吠えの由来をこれほど正確に伝える文書は初めてだと紙の古城は太鼓判を押し、洛陽の紙価を高めたのだが
大衆紙の経営者には逆恨みされ
ウルサい湖に突き落とされてしまったのだが
一部始終を見届けた湖畔の魔法使いに
全財産をゆすられることになり
デジタル版に逃げざるを得なくなったのは
知る人ぞ知る秘密だと言い張るブリキの森は、今世紀最高の高値で陰険なコレクターに落札されてしまったので、もはや真偽を検証する手だてが無くなったと財閥から見放された魔法安全性検討委員会はその運営資金にも事欠いて
交通費も自弁となり
どの委員も出席するのが嫌になり
開会不能の状態が増え
なにも決められない無能と烙印を押されたままに機能を失い
スルリと入れ知恵に長けた家畜人ヤプーの偏見のままの答申が制式に採用され
その後も変更されることなく続いている
野生種が絶えた現在では、その事実は伝説化されることもなく古文書にも記されていないので
擬音の名手の効果音からのイメージから各自が思い思いに想像するしかなくなり、
その結果、共通イメージが描けないのでなにも決められない状態がいつまでも続くことなるののだが、
それに異を唱える野郎事大な輩が突然変異的と言おうか先祖返り的に現れ
オピニオンリーダー気取りで夜を騒がす言動をマスコミを通じて叫ぶことがあるので各自は耳の穴をかっぽじいて真偽を悟る感受性と英知を養わねばなりませんとは虫食いだらけの古文書にも記されていない何時の時代かも分からない聖人の教えなのだが・・、
回転体の苦悩と貧困が地軸の傾きを強め気候変動が強くなり
結局は一巻の終わりになるのだと現代の天文学者は他人事のように饒舌に語るので、ノートに筆記するのも面倒くさく感じる聴講生達は自己調整能力を欠くのをかすかに覚えながらもノートパソコンを開き、就活に余念がない
さて、その結果はと気になったので、うろ覚えのブリキの森に分け入って聞いて見ようとしたのですが、なんの助けにもなりませんと消えいりそうな声が梢の上に漂い、聞かザルかと目を凝らしたところが、厄介者の外来種との混血ザルのようで、彼等にも住むところが無くなるのだなと思いながらも進化のダイナミズムを否定せざるを得ないのも束縛された回転体の傾斜角を当分は変えるわけにはいかないのだとは知りつつも、少しだけ酷い仕打ちだと思いながらも、先の結果を考えようとしない利益追求の輩と自己の好奇心だけで行動する輩のもたらした結果なので、なんらかの刑事罰を加える必要もあるのではないかと横町の警察官にクレーム付けたら、現実の法規に規定されていないことは、わたし達警察官には存在しないのと同じだからと優しく諭されてしまった。彼等の24時間勤務はきついのにと余計な手間暇を掛けさせてしまったと自分の無知を後悔したのは後の祭り
ごろつきどもが開催する行動計画立案書を承認するよう急かされているので、対策を講じなければなりませんので、お尋ねのこの件に関しては後日改めてご報告いたします。取り急ぎご返信まで。
あらあらかしこ




初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)
  http://anapai.com/tanpatsu/goru/
タイトルは、和さん。





自由詩 ブリキの森と紙の古城とウルサい湖畔の魔法 Copyright あおば 2013-04-01 08:41:52
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