あおば


 


 


 


 天候不順でさぞかし桜もとまどっているだろうと思ったが、この程度は想定内のようで、陽気に咲き誇っているのを眺めながらとぼとぼと散歩する。此の時期は1週間引き籠もっていると世界が一変してしまうのでいつまでも寝込んではいられないのが厳しい。
 久しぶりに歩いたので予想外に草臥れた。駅前商店街で手作りのお豆腐を買い、だらだら坂道を上りきるとおなじみの手作りパン屋さんが廃業していた。10年ほど前は何人ものスタッフがいて、あんパンマンやケーキなど沢山の品ぞろいで繁盛していたのが嘘のようだ。魚屋が無くなり、肉屋が無くなり、八百屋が無くなり、酒屋が無くなり、電気屋が消え、銀行の支店が一つ消え、スーパーも一つ消え、じり貧の一途を辿る地元商店街、買い物難民化するのもそんなに遠くないようで、がっかりしてしまう。がっぽり儲からないと由緒ある西武線の路線もどんどん整理されるご時世だから当たり前なのだが、殺風景な景色が拡がるばかりだと、1960年代から連綿と続く殺戮の時代を意識する。



散文(批評随筆小説等)Copyright あおば 2013-03-29 08:03:21
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