円空さんより太郎さん
吉岡ペペロ



円空さんの木彫りの仏像を観にいったのに

円空展よりさきに常設展をまわってしまった

千年以上まえに作られた仏像が何体も置かれていた

微笑する仏像が発する古代と洗練の息吹に

ぼくは合掌せずにはおれなかった

常設展をまわり終えてから円空展に入った

木彫りの仏像が常設の仏像よりも強い笑みを浮かべていた

円空さんは江戸時代のひとだ

だからだろうか古びた感じの像がなかった

古くても昭和や大正に彫ったもののように見えた

であるのに常設されている仏像よりも

新しさというようなものがなかった

博物館をあとにした

たまたま岡本太郎さんのオブジェとすれ違った

薬品会社の入口に置かれたオブジェだった

それがいま天を向いて笑っていた

円空さんより太郎さん、ぼくはそう呟いていた

それは円空さんの仏像と似ていた

けれど古代の仏像とおなじ息吹を発していた


携帯写真+詩 円空さんより太郎さん Copyright 吉岡ペペロ 2013-03-24 19:34:01
notebook Home 戻る  過去 未来