桜の木の下で想う
あおば

         130314




まずはおめでとう
年度末は
がんばったねぇと
誰かが祝杯を挙げる声もして
今日も花霞の空が続く
花と空と地との境目も無くなって
夢のような気もするが
突然の
気をつけろ邪魔だの罵声に
いつかの
煙霧の空を思いだす
余りの不気味さに
恨みも忘れ逃げ場所を求め
風下へと急ぐ間にも
圧倒的な力に一気に吹き飛ばされた
ビニールハウスからは
窒息させられたホウレン草の萎びた青が見えた
あまりにも情けない空の仕打ちと
勝てない相手とは知りながら
おめでとう頑張ったねえの言葉が素直には耳に入らない
頑張ったのは空なのか君なのか
それともホウレン草だったのか
ビニールハウスの天井を吹き飛ばされ
剥き出しになった地にしがみついていた早出しの野菜達は
今日の桜の下での宴会の鍋にも入っているのだろうか
花より団子の僕はそんなことを思いだしながら
声を張り上げ鍋奉行の座を死守しているのさ







初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)
  http://anapai.com/tanpatsu/goru/
タイトルは、かんなさん。





自由詩 桜の木の下で想う Copyright あおば 2013-03-14 23:07:03
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