チャップリンの友情賛歌
服部 剛
暗がりの映画館で
白黒のスクリーンには
だぶだぶの燕尾服に
しるくはっとのチャップリン
ふらりと現れた酔っ払いと
ふとしたことから口論になり
胸ぐらつかみ、胸押しあい、もつれ転がり
よろおりと立ちあがるチャップリンは
パッパと埃を手で、払い
しるくはっとを地面に、叩きつけ
互いのおでこをくっつけた2人の横を
のったりと
はげ頭の爺さんが、杖をつきつつ
通りすぎていった――
「いかんな、熱くなりすぎた…」
「すまんな、我を忘れちまって…」
3分前には
地面に転がりあっていた2人は
いつのまにやら兄弟となり
肩を組みつつ歌うのでした
スクリーンの中から
映画館の暗がりに座る、皆様へ
Fin
自由詩
チャップリンの友情賛歌
Copyright
服部 剛
2013-03-13 22:56:13
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