あちらとこちら 
服部 剛

箱のカバーから、背表紙を指で摘み
中身の本を取り出して  
カバーは向かいの空席の、あちらに 
中身の本は目線の下の、こちらに 
置いてみる 

いつか人が(体を脱ぐ)のは 
こういうことかもしれない 

机上の古書に宿る魂が 
時を越え 
開いた頁から 
こちらに語りかけるように 








自由詩 あちらとこちら  Copyright 服部 剛 2013-03-03 20:07:20
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