時間と光
あおば

                 121103


もし、この世に時間がなかったら光もないよねと
繰り返される明る過ぎる大画面の殺風景な現実
そろそろ方形のディスプレイにも飽きたね
もう造るのを止めたらと誰に言うともなく呟いて
記憶の中の、いつか見たことがある静かな朝の湖面の漣
くねくねうねる小さめの蛇紋の行方に目を見張る
陽光が満ちて来て、厳しい現実を呼び寄せるスズメバチの羽音に頸をすくめて蹲る日々の終焉には、薄明るい都会の夜空からは、星は殆ど見ることはできないが目を瞑って諦めることはない
大正の御代、賭を捨てた輝きの月光を浴びて道なりに戻っていく虚無僧の懐にもチクタクと時を刻む懐中時計くらいは入っていたのだろうと想像していた





初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)
  http://anapai.com/tanpatsu/goru/
  タイトルは、 こひもともひこさん。  
  転載にあたり僅か修正しました。 



自由詩 時間と光 Copyright あおば 2013-01-24 23:50:35
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