サブジェクト
茶殻

思い上がれば月初め、
寝かしつけた二人の猫に
子守唄は要らない
朝の詩人と夜の詩人を繋ぐ
一条のペンのかげ
かすりもしない韻律を
丘の風に送って
レトリバーがおもちゃに飽くように
ニュースは褪せていく
戦火にあってあふれ出す血液を
数多の雨が洗い
滝壺は繰り返し受け止める
重力に根付いて
飽くなき自由への一兵卒
愛の岩肌に触れるとき
主体は目覚め
たちまち孤独は疼くだろう
揺らぐ川面の月、
点と点ははぐれにはぐれ
真円を結ぶには至らず
ただ ただただ、
丸くなる猫の胸の裡に
不完全なことばの群がりが
衛星のように揺れ
浮かびつづける


自由詩 サブジェクト Copyright 茶殻 2013-01-13 01:43:09
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