ぬけがら
たもつ



庭の木にセミの抜け殻があった
手にとって握りつぶすと
ぬちゃ
それはセミの抜け殻ではなく
抜け殻のようなセミ
もて余した僕はこっそり
ぬか床に隠してしまった
夕食の時
今日のぬか漬けはいつもと一味違うなあ
父のご機嫌な声を聞きながら
今度生まれ変わることがあったなら
何か儚いものでいいと思った




自由詩 ぬけがら Copyright たもつ 2004-12-21 16:08:29
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