話されて/流されて
茶殻

隠し事はいつも耳の裏にあり、
ことあるごとに私に囁いては、
痒くなるそこに汗は溜まる

神は黙っているのが仕事だ
それは私が沈黙を不得手にしているからこそ
その果てない鈍痛のような粘性に傅く
王は話すだろう、
君の耳元で、
移民の言葉や、
或いは愛妾の姿で、
幼い瞳で捕らえた小さな虹の、
付け根に浮く蜻蛉の羽が、
私の背中にもあったのだと

君と私との間に
無軌道な低気圧が駆け
もがりぶえが響く
多くのポエムは唾棄されるべきだ。
唾棄されて
話されて
長い上り坂は
私たちの沈黙を許さずに
不浄の空に向けて
春を待つを告げる。



自由詩 話されて/流されて Copyright 茶殻 2012-12-27 15:15:34
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