生命力
川上凌


やめてくれ
もうこれ以上 彼の心臓を
痛々しく拍動させないでくれ

すべての生きものの心臓は
15億回しか耐えられない

彼の15億回はいつくるのだろう

夜がきて 朝を迎え
朝陽がこないうちに 星をいただこう
また彼と 同じ朝陽をあびたい


やめてくれ
もうこれ以上 彼の生命をぎ落とさないでくれ

陽だまりがいつもここにあるように
種を植えれば花が咲くように
戦争のあとに過ちに気づくように

大切なことは ちかくに在りすぎて
気付かなかった 


気付けなかった


お願いだ やめてくれ
彼の生命力のある限り
或いは 彼の心臓が15億回なみうつ限度まで



自由詩 生命力 Copyright 川上凌 2012-12-23 21:44:43
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