風の息吹  
服部 剛

なぜ彼等はあの日、自ら日々の線路を下りて 
漆黒の闇の彼方へ堕ちていったのか――? 

地上に堕ちた天使等は、時に 
ふたたび空へ舞いあがってゆくだろうか――? 

地上に遺されたひとりの僕は 
早すぎた彼等の生を思念するほど 
漆黒の闇には只 
白い ? の文字が浮かぶのだ 

透きとおった天使になった者達よ、どうか―― 
かつてあなた達が暮らしたこの世の日々に 
風の息吹を贈ってください 

あなた達の息を 
魂の器に吸いこむ時 
私達は「人間の色」を取り戻すだろう 

日々のさりげない風景に立つ 
一人ひとりの役者として 
織り成されてゆく 
あの物語のために―― 








自由詩 風の息吹   Copyright 服部 剛 2012-12-04 23:58:30縦
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